COLUMN コラム
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プレカット(プレカット工法・プレカット材)
2021.10.02 -
近々着工予定の案件の打ち合わせにプレカット工場へ行ってきました。
ご存知の方も多いかと思いますが、プレカットについてお話します。
プレカットとは、建築用の材料を事前に工場で加工しておくことです。
CADで作成した設計図面のデータを、プレカット用の工作機械を動かすためのCAMへ簡単に転送できるようになっていて、設計図面通りに工作機械が木材をカットしていきます。
従来、木造新築工事において、木材の加工は、大工が図面をもとに柱や梁に墨付けをし、木材の仕口や継手を手刻みで行なっています。精密な加工のため、熟練した職人の技術が不可欠です。
プレカット加工は、1980年ころからの大工の人手不足も背景となり、急速に普及しています。またプレカットには多くのメリットがあるからです。
主に次のようなことがあげられます。
- 長い柱や太い梁であっても高精度に加工できる。このため、柱と梁を組み上げただけの初期の段階でも建築物の揺れが小さく安定性が高い。また、その上で作業をする者にとっての安全性も増す。
- 従来の手刻み加工では不可能、または作成に長時間を要していたような複雑なみ継手、仕口も短時間に量産できるため、建築物の耐久性を安価に向上させることができる。
- 大工職人等の技量や建築現場の気象条件等のさまざまな不安定要素に左右されることなく、均一な部材を安定して調達できる。
- そもそも、大工仕事に従事する職人の数が減っているため、プレカットなしで木造の建築をすることは、とりわけ着工件数の多い大手住宅会社においては経済的に難しく、メリットというより必須である。
また大手住宅メーカーだけではなく、町場の工務店でも活用されるようになったことも要因の一つと思います。
建築において、プレカットは普及しましたが、この先も熟練した技術をもった大工は不可欠です。
マンションや店舗、古民家などの造作工事やリフォーム工事に大工の技術は欠かせません。
また受注する工事内容によっては、どう工事を進めていくかの厳しい判断を迫られる現場もあり、工場の加工技術の向上とともに、大工の技術の向上と人材確保は必要です。