左官工事

モルタルや壁土を使って建物の壁や床の下地を造り、仕上げていく左官工事。歴史ある城や寺院の建築においても、多くの左官職人が活躍してきました。手軽な壁紙などに押され、一時は減少傾向にあった左官工事ですが、漆喰や珪藻土といった自然素材の仕上げ材が見直されるようになり、再び脚光を浴びてきています。

一般的に左官工事というと、建築物の表面部分の仕上げを担うイメージが強いかもしれませんが、実際には壁の基礎となる下地造りが多くを占めています。
左官工事の仕事は、大きく次の2つに分けることができます。

壁の下地を造る

コンクリートをしっかり磨き、吸水調整剤を塗ります。

コテを使ってセメントモルタルなどの材料を塗っていきます。

壁の下地造りは、建物の竣工時に表に出ることは少ないものの、仕上げ材を活かし、美しく仕上げるためにとても重要な工程です。表面の仕上がりを左右するほどです。

仕上げ塗り

仕上げ塗りは、壁などの表面を塗って仕上げる作業です。土壁や漆喰壁の場合は、下地を造った後で中塗りを重ね、最後に漆喰や珪藻土を使って上塗りを行い、表面全体を仕上げていきます。塗り方によって耐久性にも影響が出るだけでなく、コテの動いた跡がそのまま壁の模様になることもあるため、職人には卓越した技術力とデザイン性が求められます。

次に、仕上げ塗りでよく使われる上塗りの材料をみていきます

・土
土は、その種類によって壁の表面に個性が出る材料です。基本的には、和室に多く用いられます。

・砂
砂を材料として使うと、滑らかな仕上がりになるのが特徴です。和室や茶室のほか、客間や洋室にも使われます。
・漆喰
漆喰は、石灰石に砂や糊などを加えて水で練り上げたものです。漆喰は、呼吸する材料だともいわれ、湿度の高い時期は水分を吸収し、乾燥する時期は水分を放出して部屋の中を快適に保ってくれます。古くは蔵の壁に多く使われ、その湿度調整ができる特徴によって貴重な収蔵品を守ってきました。
漆喰の主な原料である石灰石は不燃性で防火性が高いこと、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドを吸着・除去してくれることから、現代の住宅にも多く取り入れられています。

・プラスター
プラスターは、鉱物質の粉末を水で練った石灰または石膏のことをいいます。漆喰壁に似ていることから西洋漆喰と呼ばれることもあります。近年は様々な特性の材料があります。

・珪藻土
海や湖、川の底に堆積して化石化した植物プランクトンの死骸が珪藻土です。完全な自然素材で有害な化学物質を含まないため、アトピーやシックハウス症候群といったアレルギー症状を引き起こす心配が少なくなります。吸水性、耐火性、断熱性に優れているので注目されている素材です。

さて、具体的にどんな工事があるか、みていきます。

玄関やマンションのエントランスの床仕上げ

玄関やマンションのエントランスの床を仕上げる際には、珪藻土を使って湿度と温度を保つ実用性と、美観を保つデザイン性の両立が重要になります。床だけでなく、門扉から玄関までのあいだに設けた小道の仕上げなども左官工事での作業のひとつです。

サッシ周りのモルタル詰め

サッシ周りにモルタルを詰めていく作業も左官工事になります。リノベーションなどでサッシを交換する場合には、その周辺のモルタルも補修する必要が出てきます。下地造りと同様、細かい部分まで凹凸がないように、モルタルを詰めていく作業です。

コンクリート打ち放しの壁や床

現場で打設したコンクリートをそのまま活かした壁や床のコンクリート打ち放しは、人気の仕上げです。しかし、コンクリートがむき出しの状態では環境による劣化が進みやすく、粉吹きやカビなども発生しやすいため、壁の上に保護剤であるトップコートを塗って仕上げるのが一般的です。
コンクリート打ち放しの壁にひび割れや、締め固め不足などの打設不良が起きてしまった場合、コンクリートをすべて打設し直すのは困難なため、左官職人がコンクリートに似せた模様をつけて補修をします。

ガレージなどの土間打ち

地面を掘ってその底部に砕石を敷き詰め、コンクリートを流して固めることを土間打ちといいます。表面を滑らかに、美しく仕上げる技術が必要になります。

素材や工法により、予算や工期も違いがあります。

新築やリフォームの計画があり、ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。