COLUMN コラム
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畳について(畳の種類による機能性や特徴について)
2022.01.20 -
近年、和室が一部屋もないお住まいは少なくありません。
新築の場合でも、和室を設けないこともあります。
また、家族構成の変化に伴い、和室から洋室にリフォームすることもよくあります。
日本人の生活スタイルの変化もありますが、畳のデメリットが要因の一つなっているかもしれません。
大まかには、下記のとおりです。
畳が湿気を吸い込んだ状態が続くとダニが発生しやすくなります。
長く使っていくためには定期的にお手入れをすることが必要です。
また畳は柔らかいため重い家具を置いていると跡がついてしまいます。
このように畳は面倒なイメージがありますが、和室を設けなくても、畳のスペースがあると、変化してきている日本人の生活スタイルにも、使い勝手の良い場所になります。また、今は、畳の種類が豊富にあり、フローリングと同じように、お部屋の雰囲気を様々に楽しめます。
当社ではリフォーム及び新築工事の御相談の際、お客様の要望に対してこのようなデメリットになりうる点をお話ししながら、ご希望に沿う方法がないかをご提案しております。畳は身近なもので、皆さんはよくご存じのことと思いますが、ここで詳しくお話したいと思います。
畳は、「畳床」(たたみどこ)と呼ばれる畳の土台のようなものに、ござのような「畳表」(たたみおもて)を取り付けます。畳の両端に、「へり」と呼ばれる布製の縁取りをしてある畳と、「へり」のない畳があります。「ヘリ」がついていると耐久性に優れています。へりのないものは、モダンな雰囲気になり、デザイン性が高い畳です。
畳表は、両面が使えます。長く使っていると、段々と表面が擦れてくるので、あまりひどくならないところで、裏側に返します。これを「裏返」といいます。裏側は、日に当たることも、擦れることもないので、青々として、い草の香りが再び高くなります。この時に、ヘリ付のものは、へりも新しくします。
裏返をして再び表面が傷んできたときには、「畳表」だけを新しいものに交換する「表替え」をします。畳床は再利用できます。
それでも長く使っているうちには、畳床も疲れてきます。その時には、畳床も新しく「新畳」に交換します。
「裏返」、「畳表」、「新畳」ともに畳店に依頼をします。
畳の「畳床」と「畳表」は、それぞれ、様々な素材で作られています。
環境や用途などに合わせて、適したものを選びます。
畳床は大まかに3種類あります。
わら床
わらを編んで作られる、昔ながらの畳床です。素材に重量感があり、心地良い感触が特徴です。また、断熱効果や保温効果にも優れているほか、耐久性や弾力性の面でも優秀な素材です。
風通しの良い家屋に向いています。
建材畳床
わらを一切使用せず、化学繊維のみで作られた畳床です。ダニやカビが発生しにくく、断熱性や防音性、耐久性に優れています。一方、湿度が高い環境だとカビが生えやすくなるため、ある程度の湿度管理が必要です。
サンドイッチ畳床
わら床の間に、ポリスチレンフォームや木のチップから作られたインシュレーションボードを挟み込んで作る畳床です。わらに比べると軽量で、断熱性も持ち合わせています。わら床と似た感触をもち、価格も比較的安めです。
「畳表」の素材も様々です。
「い草」
い草と呼ばれる植物を乾燥させたもの。
古くから日本で作られている畳は、国産のい草を使用しています。弾力性や耐久性に優れています。また手触りが良く、い草の香りが強いことも特徴のひとつです。加えて、製造された地方によって色調や色合い、光沢が大きく変化します。
化学表
国産品・輸入品に関わらず、い草などの天然素材を使用しない畳です。化学表には植物の代わりに、和紙やポリプロピレンが使われます。
最大の利点はダニやノミ、カビの発生を抑えられる点にあります。また品質にバラつきが少なく、変色しにくいのも利点です
国産のい草を使用した畳は、和室によく合い、機能的にも優れていますが、様々な事情で和室を設けられない場合は、化学表の畳を部分的に置くこともあります。
次回は、化学表を詳しくお話したいと思います。